このページでわかること
- 前開き・フロントホック・前ファスナー・面ファスナーの違い
- 入院・手術前後・検査・授乳・肩が上がりにくいときの選び方
- 介護する人が着せやすい形と、選ぶときに見るところ
- フロントホックブラの付け方のコツ
もくじ
- 前開きブラとフロントホックブラの違い
- 入院するとき
- 乳がんの手術前後・放射線治療中
- 手術の後、温泉や大浴場に入るとき
- 検査・授乳・肩や腕が上がりにくいとき
- 介護する人が着せやすい形
- 選ぶときに見るところ
- フロントホックブラの付け方のコツ
- よくある質問
前開きブラとフロントホックブラの違い
前開きブラは、胸の前で開け閉めできるブラ全体を指す呼び方です。そのうち、胸の中央のホックで留めるものをフロントホックブラと呼びます。ほかに、ファスナーや面ファスナー(マジックテープ型)、ボタンで留めるものもあります。どれも腕を背中に回さずに着け外しできるのが共通の良さで、違いは「指先の力がどれくらい要るか」と「着けたときの安定感」に出ます。
| 留め方 | 着け外し | 着けたときの感じ | 向いている人・場面 |
| フロントホック | 小さな金具を合わせて留める。慣れれば片手でも外せる | 形がきれいに出やすい。ワイヤー入りもある | ふだん使いを前開きにしたい人、肩が上がりにくい人 |
| 前ファスナー | 下から引き上げるだけ。金具を合わせるより楽なことが多い | 前中心がまっすぐ決まり、ずれにくい | 指先に力が入りにくい人、術後や入院中 |
| 面ファスナー(マジックテープ型) | 押し当てるだけで留まり、留める位置も少し動かせる | アンダーのきつさを調節しやすい | むくみや傷の状態で締めつけを変えたい人、介護で着せる場面 |
| 前ボタン・スナップ | ボタンの数だけ手間はかかるが、力は要らない | 肌着に近いやわらかな着け心地のものが多い | 締めつけを避けたい人、家で過ごす日 |
| かぶるタイプ(参考) | 頭からかぶるので腕を上げる動きが要る | 留め具がなく、背中や胸に金具が当たらない | 腕が上がる人のリラックス用 |
前開きの形は、背中に留め具がないぶん、あお向けで寝たときに背中に金具が当たらないのも良いところです。一方、留め具が胸の前にあるので、前中心に硬いものが当たるのが気になる人もいます。前ファスナーや面ファスナーのものは、留め具の裏に当て布があるかも見ておきましょう。
入院するとき
入院の持ち物は、病院が配る「入院のご案内」に書かれています。国立病院機構 岡山医療センターの案内では、持ち物に前開きの寝衣と肌着が挙がっていて、手術を受ける人は、前開きで下まで開いているもの(浴衣など)と腹帯も用意するよう書かれています(腹帯は病棟の看護師に確かめるように、とあります)。
点滴や検査、診察で胸元を開ける場面が多いので、ブラも前で開けられるものにそろえておくと、そのたびに上から脱がずに済みます。入院中に着るブラは、次のような点で選ぶと過ごしやすくなります。
- ワイヤーがなく、横になっても胸の下や背中に硬いものが当たらない
- 汗を吸いやすく、洗い替えが利くように2〜3枚
- 病院の洗濯機やコインランドリーで洗っても傷みにくい、シンプルなつくり
パジャマは、上下に分かれた前開きのシャツ型が、病院ではいちばん出番の多い形です。素材やサイズの選び方はパジャマの選び方で紹介しています。持ち物や服装は病院ごとに違うので、入院先の案内を優先してください。
乳がんの手術前後・放射線治療中
国立がん研究センター中央病院の看護部は、乳がんの手術や放射線治療の後は、ワイヤー入りや胸を締めつけるブラが皮膚や傷への刺激になり、痛みやむくみの原因になると説明しています。そのうえで、手術や放射線治療の後2か月くらいは、前開きでワイヤーの入っていないソフトタイプのブラジャーをすすめています。手術の後しばらくは腕を背中に回しにくいので、後ろでホックを留めるブラは使いにくい、ともしています。
国立がん研究センター中央病院 看護部の案内より
- 傷にホックや金具、縫い目が当たらないようにする
- 専用の下着のほかに、ワイヤーのないソフトタイプのブラ、キャミソール、締めつけすぎないブラトップなども使える。必ず下着を着けなければならないわけではない
- 背中に手が回しにくいときは、前開きのものを選ぶ
- 肩ひもやサイド、アンダーの幅が広めのものは、ずれにくい
- 放射線治療中は、照射する場所の目印のマーカーが下着に付くことがあるので、濃い色のブラがすすめられている
- 乳房再建をしていない場合、手術や放射線治療から2か月くらいたつと、ワイヤー入りのブラも使える
同じ看護部の資料は、乳房を切除した後のパッドについて、胸の上までカバーしたいときは三角型、脇の下までカバーしたいときは横長型を選ぶとよいとし、肌に直接貼り付けるタイプは体質によってかぶれることがある、と注意しています。手術の方法によっては専用の下着を買い足さなくてよい場合もあり、傷の状態が落ち着いてから、自分に合いそうな形を試してみるようにとも書かれています。
手術や治療の後に着ける下着は、傷の状態や治療の内容で合うものが変わります。主治医や看護師から指示があるときは、そちらを優先してください。病院によっては、乳腺の外来などで下着やパッドの相談に乗っています。
手術の後、温泉や大浴場に入るとき
乳がんなどの手術で傷あとが残った人のために、傷あとをカバーする入浴着(入浴用の肌着)がつくられています。厚生労働省は、入浴着は脱衣所などで着て、湯船に入る前に付いた石けんをよく洗い流すなど、清潔な状態で使えば衛生管理上の問題はないとしています。そのうえで、公衆浴場や旅館・ホテルの浴場、サウナの事業者や従業員、ほかの利用者に、入浴着を着た人が気兼ねなく入浴できるよう理解と配慮を呼びかけています。
入浴着は下着とは別のもので、湯船で着ることを前提につくられています。ふだんのブラやキャミソールで代わりにはできません。施設によって受け入れの案内のしかたが違うので、出かける前に確かめておくと安心です。
検査・授乳・肩や腕が上がりにくいとき
検査や健康診断の日
胸のX線やMRIなどの検査では、ワイヤーや金具のあるブラは外すよう案内されることが多く、カップ付きのインナーでも外すよう求める案内もあります。前で外せるブラなら、着替えの手間が少なくて済みます。検査の日の服装は、ノンワイヤーブラの使い分けで、自治体や病院の案内をもとにまとめています。実際の服装は、検査先の案内に従ってください。
授乳期
授乳ブラは、カップの上部を開けたり、カップをずらしたりして授乳できるつくりが多く、前開きとは目的が少し違います。前開きのものは、授乳のたびに前を全部開けるので、夜中の授乳には少し手間がかかることもあります。選び方は、すくすくインナー相談室の授乳ブラの選び方と産後の下着にまとめています。
肩や腕が上がりにくいとき
肩の痛みやけがで腕を後ろに回しにくい、頭からかぶるのがつらい。そんなときに、いちばん前開きの良さを感じやすい場面です。着けるときは、動かしにくいほうの腕から先に肩ひもを通し、脱ぐときは動かしやすいほうの腕から抜くと、肩を大きく動かさずに済みます。肩ひもの付け根が背中側で広く開いているものや、肩ひもが少し伸びるものは、腕を通しやすくなります。
介護する人が着せやすい形
家族や介護する人が着替えを手伝うときは、本人の着け心地とあわせて、手伝う人の手順の少なさも大切です。
- 面ファスナーや前ファスナーのもの:小さなホックを合わせるより手早く留められます。面ファスナーは、その日のむくみに合わせて留める位置を少しずらせます。
- 肩ひもの長さを途中で変えなくてよいもの:肩ひもが伸び縮みする生地のものや、アジャスターの小さいものは、肌に当たる金具が少なくなります。
- ゆとりのあるS・M・L表記:カップ表記のブラより、体の変化があっても合わせやすくなります。
- 洗濯に強いもの:洗う回数が多いので、洗濯機で洗える表示のものが続けやすい形です。
座ったままで着せるときは、腕を通してから前を合わせ、最後に背中側のしわを伸ばします。寝たままのときは、体を横向きにしてもらい、背中側に片側を差し込んでから、反対側に向いてもらって引き出すと、腕を大きく動かさずに着せられます。体の状態によって適した方法は違うので、ケアマネジャーや看護師、リハビリの担当者がいる場合は相談してください。
選ぶときに見るところ
前開き・フロントホックブラのチェック
- 留め具の種類:指先の力に自信がなければ、ホックより前ファスナーや面ファスナー。
- 留め具の裏:金具やファスナーの裏に当て布があるか。前中心の当たりが気になる人は特に。
- ワイヤーの有無:術後や入院中、寝て過ごすことが多いときはノンワイヤーを。ふだん使いで形を整えたい日はワイヤー入りのフロントホックもあります。
- アンダーベルトと肩ひもの幅:幅の広いアンダーベルトや肩ひもは、ずれにくく、当たりもやわらぎます。
- アンダーの調節:フロントホックブラは、留める位置を何段階かに変えられないものが多く、アンダーの長さを調節しにくい形です。サイズ表の範囲の中ほどに入るものを選びます。
- 大きいサイズ:フロントホックでもD・E・Fカップ以上を展開しているものがあります。胸が大きい方は、脇まで布の高いものや肩ひもが太めのものを選ぶと安定します。
フロントホックブラの付け方のコツ
- 肩ひもに両腕を通し、カップを胸に当てます。肩が上がりにくいときは、動かしにくいほうの腕から通します。
- アンダーベルトが胸のすぐ下にくる位置で、左右の留め具を胸の中央で合わせます。ホックは、上下をそろえてから差し込むと留めやすくなります。
- 留めたら少し前かがみになり、脇やカップのまわりの胸をカップの中に入れます。
- 体を起こして、背中側のアンダーが前と同じ高さで水平になっているかを鏡で見ます。背中が上がっていたら、後ろに手を回して下げるか、肩ひもを少し長くします。
- 最後に肩ひもの長さを整え、腕を前に伸ばしたり座ったりして、留め具が当たらないか、ずれないかを確かめます。
外すときは、胸の下で留め具を両手で軽く寄せ合うと、金具に力がかからず外しやすくなります。ブラの付け方の基本はブラの付け方、サイズの測り方はサイズガイドで紹介しています。ノンワイヤーブラの見方はノンワイヤーブラの選び方もあわせてご覧ください。
前開きのパジャマは前開きパジャマの一覧からご覧いただけます。
フロントホックブラの一覧を見る
よくある質問
フロントホックブラとはどんなブラですか?
アンダーベルトを留める留め具(ホック)が、背中ではなく胸の前の中央に付いているブラです。腕を背中に回さずに着け外しできます。ワイヤー入りのものとノンワイヤーのものがあります。
乳がんの手術の後は、いつからふつうのブラに戻せますか?
国立がん研究センター中央病院の看護部は、手術や放射線治療の後2か月くらいは前開きでワイヤーのないソフトタイプのブラをすすめ、乳房再建をしていない場合は、そのころからワイヤー入りのブラも使えるとしています。傷や治療の状態で変わるので、主治医や看護師に確かめてください。
入院のときはどんな下着を持っていけばいいですか?
病院の「入院のご案内」に持ち物が書かれています。国立病院機構 岡山医療センターの案内では、前開きの寝衣と肌着、手術を受ける人は前開きで下まで開くもの(浴衣など)を挙げています。病院によって違うので、入院先の案内に従ってください。
フロントホックブラはサイズが合わせにくいと聞きました。
フロントホックブラは、背中のホックのように留める位置を何段階かに変えられないものが多く、アンダーの長さを調節しにくいことがあります。アンダーを測って、サイズ表の範囲の中ほどに入るものを選ぶと合わせやすくなります。
乳がんの手術の後、温泉に入るときに着られるものはありますか?
傷あとをカバーするためにつくられた入浴用の肌着(入浴着)があります。厚生労働省は、清潔な状態で使えば衛生管理上の問題はないとして、入浴施設や利用者に理解と配慮を呼びかけています。施設によって対応が違うので、事前に確かめておくと安心です。
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