このページでわかること
- 古代の腰布と中世のブレー、メンズ下着のはじまり
- 上下一体のユニオンスーツが生まれた意外な理由
- ブリーフ・トランクス・ボクサーパンツ、それぞれの誕生と広がり
- 日本のふんどし・猿股・ステテコから今の下着への流れ
もくじ
- 古代〜中世:腰布とブレー
- ユニオンスーツ:上下一体の下着の意外なルーツ
- 1935年、ブリーフの登場
- トランクス:ボクシングから生まれた形
- ボクサーブリーフ:ブリーフとトランクスのいいとこ取り
- 3つの形、生まれた背景をくらべる
- 日本では:ふんどしから猿股、そしてブリーフへ
- 歴史から見る、今のメンズ下着選び
- よくある質問
古代〜中世:腰布とブレー
男性の下着の原点は、腰に巻く布、いわゆる「腰布(ロインクロス)」です。古代エジプトのツタンカーメン王の墓からは、140枚を超える腰布が見つかっています。王が死後の世界でも使えるようにと、たくさんの下着がおさめられていたのです。
中世ヨーロッパでは、「ブレー」と呼ばれるゆったりした麻の下ばきが使われました。腰の部分をひもで留める形で、13世紀の写本の挿絵などから、その姿を知ることができます。時代によっては下着ではなく外から見える衣服として扱われることもあり、「下着」と「外着」の境目は今ほどはっきりしていませんでした。布を巻く、ひもで留めるといったシンプルな作りは、ゴムや伸縮する編み地がまだなかった時代ならではの工夫です。
ユニオンスーツ:上下一体の下着の意外なルーツ
19世紀のアメリカでは、上下がつながった「ユニオンスーツ」が広く使われました。長袖・長ズボン丈のつなぎで、寒い季節の下着として重宝されました。
意外なことに、ユニオンスーツはもともと女性の服装改革から生まれた下着です。1868年にアメリカで特許が取られた当初は、締めつけの強いコルセットに代わるものとして考えられていました。それがのちに男性の下着として定着していったのです。
よく聞く話、実は…
「ユニオンスーツは男性用の下着として生まれた」と思われがちですが、始まりは女性の服装改革でした。下着の歴史では、男女の下着がお互いに影響しあってきた例が少なくありません。
1935年、ブリーフの登場
1935年1月19日、アメリカ・シカゴの百貨店で、脚の部分がない短いぴったりとした下着が発売されました。これがブリーフの始まりとして知られています。発売初日に売り切れるほどの反響を呼び、その数か月後には、Y字型の前開きがついた形も加わりました。
伸縮する編み地で体にフィットし、動いてもずれにくいブリーフは、それまでのゆったりした下着とはまったく違う着心地でした。メーカーは「世界初」としていますが、それ以前にも短い下着は存在しており、「ここから広く知られるようになった」と考えるのがよいでしょう。
トランクス:ボクシングから生まれた形
トランクスのルーツは、ボクシングの試合用ショーツにあります。1925年ごろ、それまで革のベルトで留めていたボクシング用のショーツが、ゴムで留める形に改良されたとされます。この形に似たゆったりした下着が、「ボクサーショーツ」と呼ばれるようになりました。
ただ、1930年代後半からはフィット感のあるブリーフが広まり、トランクスはいったん押され気味になります。それでも開放感のある着心地は好まれ続け、ブリーフと並ぶ定番のひとつとして残りました。
日本では「トランクス」、海外では「ボクサーショーツ」
英語圏ではゆったりした形を「boxer shorts」、ぴったりした形を「boxer briefs」と呼ぶのが一般的です。日本ではゆったり型を「トランクス」、ぴったり型を「ボクサーパンツ」と呼ぶことが多いので、海外の商品を見るときは呼び名の違いに注意しましょう。
ボクサーブリーフ:ブリーフとトランクスのいいとこ取り
脚の付け根から太ももの一部までを包むボクサーパンツ(ボクサーブリーフ)は、ブリーフのフィット感と、トランクスのような見た目の落ち着きをあわせ持つ形です。1990年代前半に、アメリカのファッションブランドの広告などを通じて広く知られるようになったとされます。誰がいつ最初に作ったかについては、資料によって見方が分かれます。
伸縮性のある素材が進化したことで、ボクサーパンツは動きやすく、細身のパンツにもラインが響きにくい下着として定着しました。今では、脚まわりの長さや股上の深さ、前開きの有無など、さまざまなバリエーションから選べます。
3つの形、生まれた背景をくらべる
今のメンズ下着の代表的な3つの形は、それぞれ違う時代・違う目的から生まれています。背景を知ると、それぞれの着心地の違いにも納得がいきます。
| 形 | 広まった時期 | 生まれた背景 | 着心地の特徴 |
| トランクス | 1920年代〜 | ボクシング用ショーツから | ゆったりして風通しがよい |
| ブリーフ | 1930年代〜 | 体にフィットする短い下着として発売 | ぴったりして動いてもずれにくい |
| ボクサーパンツ | 1990年代〜 | ブリーフとトランクスの中間として | フィット感があり、脚の付け根まで包む |
どれが優れているということではなく、好みや服装、過ごし方によって合う形が変わります。たとえば、家でくつろぐ日はトランクス、スポーツや細身のパンツの日はボクサー、というように使い分けるのもひとつの方法です。素材や編み方によっても着心地は大きく変わるので、リブ編みや綿・化学繊維の違いにも目を向けてみてください。
日本では:ふんどしから猿股、そしてブリーフへ
日本の男性下着といえば、ふんどしです。古くは「たふさぎ」、室町時代には「手綱(たづな)」、江戸時代には「下帯」などと呼ばれ、長い布を締める六尺ふんどしや、ひもつきの越中ふんどしなどがありました。越中ふんどしの名前の由来には諸説あり、はっきりしていません。
明治以降、洋装が広がるにつれて、ふんどしから「猿股(さるまた)」へと移っていきました。明治13年(1880年)ごろには、寄席の「すててこ踊り」で使われたひざ下丈の下ばきが、ステテコの名の由来になったといわれています。
戦後になると、ふんどしは急速に使われなくなり、1950年代中ごろからはブリーフが広がりました。その後、1980年代中ごろにはトランクスが、1990年代後半からはボクサーパンツが広く選ばれるようになり、今に至ります。
- 古代エジプトの王墓に140枚を超える腰布がおさめられる
- 中世ヨーロッパでひもで留める麻の下ばき「ブレー」が使われる
- 1868年アメリカでユニオンスーツの特許(当初は女性の服装改革のため)
- 1880年ごろ日本で「すててこ踊り」が流行し、ステテコの名の由来に
- 1925年ごろゴムで留めるボクシング用ショーツが登場し、トランクスの原型に
- 1935年アメリカでブリーフが発売される
- 1950年代日本でブリーフが広がる
- 1990年代ボクサーブリーフが広まり、日本でも後半から定着
歴史から見る、今のメンズ下着選び
メンズ下着の歴史は、「ゆったり」と「ぴったり」の間を行き来してきた歴史ともいえます。開放感を求めるならトランクス、しっかりしたフィット感ならブリーフやビキニ、その中間のバランスならボクサーパンツ。服装や過ごし方に合わせて、形を使い分けるのがおすすめです。
形を選ぶときのチェックポイント
- 脚まわりの長さ:短めは軽快、長めは太もものこすれが気になる人やスポーツ時に向きます。
- 股上の深さ:浅めはローライズのパンツに合わせやすく、深めはおなかまわりまで包まれる安心感があります。
- 前開きの有無:前開きつきは昔ながらの使いやすさ、前閉じはすっきりした見た目とフィット感が特徴です。
- ウエストゴム:幅が広いものは食い込みにくく、外に出るタイプは見た目のデザインも楽しめます。
サイズや形の選び方はメンズインナーの選び方で詳しく紹介しています。レディース下着の歩みはレディース下着の歴史、日本の下着の移り変わりは日本の下着の歴史もあわせてご覧ください。
よくある質問
ブリーフはいつ生まれたのですか?
アメリカで1935年1月19日に、シカゴの百貨店でブリーフ型の下着が発売されたことが知られています。発売初日に売り切れるほどの反響があり、その数か月後には前開きのついた形も加わりました。メーカーは「世界初」としていますが、それ以前にも短い下着はあり、最初がどれかは決めにくいところです。
トランクスはボクシングと関係があるのですか?
あります。1925年ごろ、ボクシング用のショーツが、ベルトで留める形からゴムで留める形に改良されたとされ、それに似た形の下着が「ボクサーショーツ」「トランクス」と呼ばれるようになりました。
ボクサーパンツはいつから広まったのですか?
ブリーフとトランクスの中間のような、脚の付け根を包むボクサーブリーフは、1990年代前半にアメリカのファッションブランドの広告などで広く知られるようになったとされます。日本でも1990年代後半から広がり、今ではメンズ下着の中心的な形になっています。
ブリーフ・トランクス・ボクサーはどう選べばいいですか?
フィット感を重視するならブリーフやボクサー、ゆったりした開放感を求めるならトランクスが向いています。スーツやスキニーパンツなど細身の服には、ラインが響きにくいボクサーが合わせやすいでしょう。詳しくはメンズインナーの選び方をご覧ください。
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