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パジャマ・ルームウェアの歴史|インドの脚衣から、いまの「部屋着」になるまで

毎晩なにげなく着ているパジャマや、休日に過ごすルームウェア。実はその名前は遠くペルシャの言葉にさかのぼり、インド、英国、そして日本へと旅をしてきました。「部屋で着る服」がどのように生まれ、いまの形になったのかを、ネグリジェや浴衣の話も交えてたどります。

更新日 編集 株式会社白鳩

白い床の上に並べた藍色の浴衣、パイピング付きのストライプのパジャマ、オートミール色のニットのルームウェアとスリッパ、マグカップ

このページでわかること

  • 「パジャマ」の語源と、インドから英国へ伝わった経緯
  • 1920年代に女性のパジャマが登場し、ネグリジェと並ぶ寝間着に
  • 日本の寝間着は湯帷子・浴衣から洋風の寝間着へ
  • ルームウェア・ワンマイルウェアと、今の選び方のポイント
もくじ
  1. 「パジャマ」はペルシャ語の「脚の衣服」
  2. インドから英国へ。男性の寝間着として広まる
  3. 女性のパジャマと、ネグリジェの時代
  4. 日本の寝間着は、湯帷子から浴衣、そして洋風へ
  5. パジャマの「かたち」に残る歴史
  6. 「寝る服」から「家で過ごす服」へ
  7. 歴史から考える、いまの選び方
  8. よくある質問

「パジャマ」はペルシャ語の「脚の衣服」

「パジャマ」という言葉は、ペルシャ語のpā(脚)とjāma(衣服)を組み合わせたものです。この言葉がヒンディー語・ウルドゥー語の「pājāma」になり、英語に取り入れられました。

もともとの pājāma は、寝間着ではなく足首まである、ゆったりとしたズボンのことでした。インドや周辺の地域では、長い上衣と組み合わせて日中にも着られていた、ごく日常的な衣服です。それがやがて海を渡り、「寝るときに着る服」の代名詞になっていきます。

英語の文献にこの言葉が現れるのは、1800年代のはじめごろとされています。つまり、パジャマという呼び名が寝間着として世界に広がったのは、長い衣服の歴史のなかでは比較的新しいできごとなのです。

インドから英国へ。男性の寝間着として広まる

18世紀の終わりから19世紀のはじめにかけて、インドに暮らしていた英国人男性たちは、現地のゆったりとしたズボンと上衣の組み合わせを、暑い土地での室内着や寝間着として着るようになりました。

当時の英国では、男性も女性も、すっぽりとかぶる長いシャツ型の寝間着(ナイトシャツやナイトガウン)で眠るのが一般的でした。そこへ、上下に分かれて脚が動かしやすいインド由来の寝間着が持ち帰られます。英国や欧州で男性の寝間着として広まったのは、1870年代ごろからとされています(資料によっては19世紀末とするものもあります)。

上衣とズボンに分かれた「ツーピースの寝間着」という、いまのパジャマの基本形は、この時代に定着したといえます。

女性のパジャマと、ネグリジェの時代

しばらくのあいだ、パジャマは主に男性の寝間着でした。女性のパジャマが登場するのは1920年代です。コルセットから解放され、まっすぐなシルエットの服が好まれたこの時代、海辺でゆったり着る「ビーチパジャマ」などがおしゃれな装いとして話題になり、女性がパジャマを着るきっかけの一つになりました。

一方、女性の寝間着として長く親しまれてきたのがネグリジェです。語源はフランス語の négligé で、「かまわない」「気取らない」といった意味があります。18世紀ごろから、男女を問わずくつろぐときの室内着を指す言葉として使われてきました。日本では、ワンピースのようにつながった形の、女性用の洋風寝間着をネグリジェと呼ぶのが一般的です。

言い伝えはあくまで言い伝え

ネグリジェについては「17世紀のフランス宮廷の女性が、体型の変化を隠すために考えた」という話が紹介されることがあります。ただし、これは確かめられた史実というより、言い伝えの類と考えたほうがよいでしょう。

丈の短いネグリジェはベビードールとも呼ばれ、寝間着というより、見せることも意識したランジェリーの一種として楽しまれています。

日本の寝間着は、湯帷子から浴衣、そして洋風へ

日本の寝間着の歴史をたどると、浴衣に行き着きます。浴衣の起源は、平安時代の「湯帷子(ゆかたびら)」です。これは入浴のときに身につけた麻の単衣(ひとえ)で、のちに湯上がりに着る服になり、江戸時代以降は寝間着や夏のくつろぎ着としても使われるようになりました。いまでも旅館で浴衣が寝間着として用意されているのは、その名残といえます。

「パジャマ」という言葉は、大正時代の小説にすでに登場しています。ただ、洋風の寝間着がいつごろ一般の家庭に広まったのかは、はっきりとした記録が見当たりません。戦後、暮らし全体が洋風になっていくなかで、布団からベッドへ、浴衣からパジャマやネグリジェへと、少しずつ移り変わっていったと考えられます。

オートミール色のニットのルームウェアを着た女性が、ソファで本を読んでくつろいでいるイラスト

パジャマの「かたち」に残る歴史

いまのパジャマを手に取ってみると、そのデザインのあちこちに、長い歴史の名残が見つかります。

たとえば、上着がシャツのような前開きで、えりが付いた形。英国で男性の寝間着として広まった時代を思わせる、シャツに近いデザインです。えりや袖口、前立てに沿って細いひも状の縁取り(パイピング)をあしらったデザインも、クラシックなパジャマらしさを表す定番として受け継がれています。

ズボンがゆったりとしたシルエットなのは、もともとの pājāma が足首まであるゆったりとしたズボンだったことを思い起こさせます。体を締めつけず、寝返りを打っても脚さばきがよいことは、いまも寝間着選びの大切なポイントです。

一方で、素材やシルエットはその時代の暮らしに合わせて変化してきました。布帛(織物)のシャツ型パジャマだけでなく、伸び縮みするニットのかぶり型、ワンピース型、上下で素材を変えたものなど、いまは形を自分の眠り方や好みに合わせて選べるようになっています。

「寝る服」から「家で過ごす服」へ

パジャマが「寝るための服」だとすると、ルームウェアは家でくつろぐ時間全体のための服です。休日に一日を家で過ごしたり、在宅で仕事をしたりと、家での過ごし方が多様になるにつれ、「パジャマのままでは少し落ち着かないけれど、外出着ほどきちんとしなくていい」という服が求められるようになりました。

近年は、外で着る服と部屋で着る服をきちんと分ける習慣とともに、近所への買い物や散歩ならそのまま出かけられるワンマイルウェアという考え方も広まっています。部屋着の楽さはそのままに、人に会っても気にならない見た目を持つ服です。

  1. 古代〜中世ペルシャ・インドで、足首丈のゆったりしたズボン(pājāma)が日常着として着られる
  2. 平安時代日本で、入浴時に着る麻の「湯帷子」が使われる。のちの浴衣の起源
  3. 1800年代はじめ英語の文献に pajama(pyjama)の語が現れるとされる
  4. 1870年代ごろインド帰りの英国人男性を通じて、上下に分かれた寝間着が英国・欧州に広まる
  5. 1920年代女性のパジャマが登場。ビーチパジャマがおしゃれ着として話題に
  6. 戦後日本でも暮らしの洋風化とともに、パジャマやネグリジェが広がっていく
  7. 2020年代家で過ごす時間の見直しから、ルームウェアやワンマイルウェアが注目される

歴史から考える、いまの選び方

パジャマが英国で受け入れられた理由は、上下に分かれていて体を動かしやすいことでした。この考え方は、いまの寝間着選びでもそのまま役立ちます。

シーン別・選ぶときのポイント

  • 寝るとき…寝返りを打ちやすいゆとりのあるシルエットで、背中や腰に当たる縫い目・飾りが少ないもの。上着は前開きだと着脱がらくです。
  • 家でくつろぐとき…伸縮性のあるリブ編みやカットソー素材なら、座ったり家事をしたりしても動きやすくなります。
  • ちょっと外に出るとき…パジャマらしいパイピングや柄が控えめで、シルエットのきれいなセットアップが便利です。
  • 素材…汗をかきやすい季節は綿やモダールなど肌ざわりのよい素材、寒い季節は起毛やニット素材など、季節で使い分けるのもおすすめです。

浴衣の湯帷子、インドの脚衣、英国のツーピースの寝間着。形は違っても、どれも「体をらくにして、くつろぐための服」として選ばれてきました。自分の過ごし方に合う一着を選ぶことが、いちばんの近道です。素材の特徴は素材の選び方、お手入れは下着の洗い方もあわせてご覧ください。

世界の女性下着の移り変わりは女性下着の歴史、日本で下着がどう変わってきたかは日本の下着の歴史で紹介しています。

よくある質問

パジャマという言葉はどこから来たのですか?

ペルシャ語の「pā(脚)」と「jāma(衣服)」が組み合わさった言葉で、ヒンディー語・ウルドゥー語の「pājāma」を経て英語に入ったといわれます。もとは足首まであるゆったりしたズボンのことで、寝間着の意味で使われるようになったのは英国に伝わってからです。

パジャマとネグリジェの違いは何ですか?

パジャマは上衣とズボンに分かれた寝間着、ネグリジェはワンピースのようにつながった形の寝間着です。ネグリジェはフランス語で「気取らない」といった意味の言葉に由来し、日本では主に女性用の洋風寝間着を指します。

ルームウェアとパジャマはどう使い分ければよいですか?

パジャマは寝るときに着ることを前提にした服、ルームウェアは家でくつろぐ時間全般に着る服です。寝るときは縫い目や飾りが少なく、寝返りしやすいゆとりのあるもの、起きている時間は動きやすさや来客時の見え方も考えたものを選ぶと、使い分けしやすくなります。

ワンマイルウェアとは何ですか?

家の中だけでなく、近所への買い物や散歩など、家から1マイル(約1.6km)ほどの範囲なら外出にも着られる服のことです。部屋着の楽さと、人に会っても気にならない見た目を両立した服として注目されるようになりました。

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