2026.10.14
タビオの底力|3人と13万円で始まった、国産靴下を貫く会社の中身
靴下は、いちばん雑に選ばれている衣類だと思います。3足1,000円の棚から適当に取って、穴が空いたら捨てる。革靴を脱いだときに「あ」と思っても、次の日にはもう忘れている。
その靴下を、1足1,000円前後で50年以上売り続けている会社があります。タビオ。「靴下屋」の看板でおなじみのあの会社です。日本に流通する靴下の9割以上が輸入品になった時代に、いまも国産を貫いています。
この記事では、タビオという会社の歴史とものづくりをたどりながら、当社が扱っているタビオのメンズ14型が、どこで効くのかを整理します。読んだあとで靴下の棚の前に立つと、選び方が変わるはずです。
1968年、3人と13万円で始まった会社
01.社名は「ダン」だった
タビオの創業は1968年。創業者の越智直正が、当時勤めていた会社を辞め、同僚と3人で靴下専門の卸問屋を始めたのがスタートです。創業資金は13万円、商号は「ダン」でした。
順調だったわけではありません。公式の沿革には1973年に倒産の危機を迎え、借金総額が7千万円に達したと書かれています。
タビオの主な沿革(タビオ公式サイトの沿革ページより)| 年 | できごと |
|---|
| 1968年 | 越智直正が同僚と3人で靴下専門卸問屋を創業。創業資金13万円、商号は「ダン」 |
| 1973年 | 倒産の危機。借金総額が7千万円に達する |
| 1982年 | Dan echo三宮1号店をオープン |
| 1984年11月1日 | 福岡県久留米市に「靴下屋」第1号店をオープン |
| 1993年11月11日 | 協同組合靴下屋共栄会(CSM)の拠点となるCSM棟が完成 |
| 2000年10月6日 | 大阪証券取引所2部に上場 |
| 2002年3月 | 初の海外店舗「タビオ」をロンドンにオープン |
| 2006年9月1日 | 社名をダンからタビオに変更 |
社名の「Tabio」は、The Trend And the Basics In Order(流行と基本の秩序正しい調和)の頭文字からつけられたものです。流行も追うが、基本を崩さない。この順番が社名になっている会社、というのがまず面白いところです。
02.扱っているのは靴下だけ
タビオが展開しているブランドは、「靴下屋」「Tabio」「Tabio MEN」を中心に、スポーツに特化した「TABIO SPORTS」、機能性に特化した「TABIO LEG LABO」など。並べてみると、全部が靴下とレッグウェアです。
公式サイトには「靴下だけで、年間168億円を売り上げる」と書かれています(靴下・タイツ等を含むレッグ関連商品の2024年度売上高)。シャツもパンツも作らず、足に履くものだけでこの規模になっている会社は、そう多くありません。
当社が扱っているメンズラインが「Tabio MEN」です。外から見えないカバーソックスが4型、丈のある定番ソックスが10型。数は多くありませんが、どれも狙いがはっきりしています。
輸入92%の時代に、国産を貫く理由
ここがタビオのいちばん分かりやすい「底力」です。
公式サイトは、日本の靴下市場の変化をこう書いています。「1990年当時、日本で流通していた靴下の約90%は国内生産だった。」そして「その流れは現在まで続き、ついに2024年度では輸入靴下の浸透率が92%となった。」
日本で流通する靴下の国内生産と輸入(タビオ公式サイトの表記より)| 時点 | 公式サイトの記述 |
|---|
| 1990年当時 | 日本で流通していた靴下の約90%は国内生産 |
| 2024年度 | 輸入靴下の浸透率が92% |
35年で、ほぼ裏返っています。9割が国産だった市場が、9割が輸入になった。この間に価格競争が進み、靴下は「安く買って使い捨てるもの」になりました。
そのなかでタビオは国産を続けています。公式が掲げているタイトルがそのまま姿勢を表しています。「たった数%の国産靴下を、今も貫き続ける理由」。
主力の生産拠点は奈良県です。公式サイトには「タビオの主力生産拠点である奈良県は、現在日本最大の靴下産地として知られている」とあり、本社が大阪にあるのも「主要な生産拠点である奈良県や兵庫県へ頻繁に足を運べる立地だから」と説明されています。
つくる場所の近くに本社を置く。言葉にすると当たり前のようですが、生産を海外に移した会社は本社と工場の距離がそのまま離れていきます。距離を離さなかったこと自体が選択です。
奈良の旧式編み機と、職人の手
01.新しい機械に替えない
国産を続けているだけではありません。設備の選び方が独特です。
公式サイトには「タビオでは、今も旧式の編み機が現役で使われている」と書かれています。理由は、機械内部の小さなネジをわずかに調整するだけで編み目の密度やフィット感、履いたときの感触が変わり、その微妙な差は旧式の編み機だからこそ引き出せる、というものです。
古い機械なので消耗部品が手に入らないこともあり、そのときは職人が自ら金属を加工して必要なパーツをつくる、とも説明されています。
効率で考えれば新しい機械に替えるのが正解です。それをしないという判断が、履き心地の側に振り切った会社だということを示しています。
02.わざとゆっくり編む
編む速度についても、創業者の越智直正はインタビューでこう説明しています。生産効率を優先せず、機械の回転数を「7割か8割で、ゆっくりと編みます」。
同じ機械でも、速く回せばたくさんつくれます。それを2割から3割落とす。1足あたりのコストは当然上がります。それでもゆっくり編むのは、糸に無理をさせないほうが仕上がりが良いからです。
さらに公式サイトは「編み工場の中だけでも10人を越える人の手が、強くしなやかな靴下を作り出しています」と書いています。糸を編み、つま先を縫い、ほつれがないかチェックして、蒸気でプレスする。1足のカバーソックスに、それだけの工程が入っています。
1,000円前後の靴下の裏側にこれがある、というのがタビオの底力です。
見えない1枚にこそ、差が出る
01.カバーソックスは4型。用途が全部違う
Tabio MENのうち、まず見ておきたいのがカバーソックス(フットカバー)の4型です。革靴やスニーカーを素足っぽく履くときの、外から見えない1枚。
見えないから安いものでいい、と考えるといちばん損をする場所でもあります。脱げてかかとに丸まる、汗を吸わずに靴が湿る、脱いだときにニオう。困りごとが集中するのは、たいていこの見えない1枚です。
この4型はどれも日本製、サイズはメンズ25-27cmです。狙いが違うので、順番に見ていきます。
悩みから選ぶ Tabio MEN のカバーソックス| 困っていること | 向いている1枚 |
|---|
| まずは定番を1足。脱げるのが不安 | 無地カバーソックス(深め) |
| 靴から靴下を見せたくない | 超浅履き GOODFOOT |
| 靴の中が蒸れる・夏場に履きたい | 足袋カバーソックス(クールマックス) |
| 脱いだときのニオイが気になる | デオドラント五本指カバーソックス |
カバーソックスはまとめてタビオのメンズ一覧から見られます。
02.定番から選ぶなら「深め」
タビオ メンズ 定番 無地カバーソックス 深め フットカバー 靴下 吸水速乾 消臭 日本製 Tabio MEN(¥990):定番の無地カバーソックス。履き口が深めなので、革靴でもスニーカーでも脱げにくく、かかとが抜ける不安が少ないタイプです。綿を混ぜた生地で肌当たりがやわらかく、吸水速乾と消臭が付いています。4色あるので、靴の色に合わせて揃えやすいのもこの型です。まず1足という人はここから。
03.靴下を見せたくないなら「超浅履き」
タビオ メンズ 超浅履き 脱げにくいカバーソックス GOODFOOT フットカバー 靴下 吸水速乾 消臭 日本製 Tabio MEN(¥880):超浅履きのGOODFOOT。ローカットのスニーカーやスリッポンで、靴の縁から靴下がのぞくのを避けたい人向けです。浅いぶん脱げやすくなるのが普通ですが、脱げにくさを名前に掲げている型なので、そこを設計で解いています。生地はポリエステル主体のドライな質感で、吸水速乾と消臭付き。
04.蒸れが気になるなら「足袋型」
タビオ メンズ 足袋カバーソックス 脱げにくい 消臭 クールマックス 靴下 フットカバー 日本製 Tabio MEN(¥990):足袋カバーソックス。親指と他の指が分かれている足袋型で、指の間に生地が入るので汗を受けやすく、指同士が張り付く不快感が出にくい形です。生地にクールマックスを使ったドライタイプなので、気温が高い時期や、革靴で一日歩く日に効きます。ビーチサンダルや下駄を履く機会がある人にも合う形です。
05.ニオイ対策なら「五本指」
タビオ メンズ デオドラント五本指カバーソックス 靴下 フットカバー 日本製 Tabio MEN(¥1,430):デオドラント五本指カバーソックス。指が5本に分かれているので、足の指の間の汗をいちばんしっかり受けられる形です。ニオイは汗そのものより、汗が皮膚に残ったまま時間が経つことで出てきます。指の間まで生地が入る五本指は、そこに直接効く構造です。綿を混ぜた生地で、カバーソックス4型のなかではいちばん本格的な汗・ニオイ対策になります。
カバーソックスの選び方、3つだけ
01.丈は「靴に合わせる」が正解
浅いほうがおしゃれ、と考えると失敗します。丈は靴の縁の高さで決めるものです。
革靴やハイカットのスニーカーなら、縁が高いので深めで問題ありません。むしろ深いほうが脱げません。ローカットのスニーカーやスリッポンで縁が低い靴だけ、超浅履きの出番です。
つまり「靴によって履き替える」のが本来の使い方で、1種類で全部やろうとすると、どこかで脱げるかどこかで見えることになります。2型を持っておくと、この問題は消えます。
02.脱げるのは「サイズが合っていない」からが多い
カバーソックスが脱げる原因の多くはサイズです。タビオのメンズはいずれも25-27cmで、この範囲の足なら設計どおりのかかとの位置に来ます。
大きめを選ぶと、かかとのカーブが本来当たる位置からずれて、歩いているうちに抜けます。すべり止めが付いていても、位置が合っていなければ効きません。
もうひとつは寿命です。かかとを押さえているのはゴムなので、洗濯を繰り返せば必ず緩みます。「最近よく脱げる」は、履き方ではなく買い替えの合図です。
03.ニオイは「素材」より「形」で減らせる
消臭加工は入っていたほうがいいですが、それだけに頼らないほうが結果が出ます。効くのは形です。
足の指の間は、汗が抜けにくくて温度が高い場所です。ふつうの靴下では指が密着したままなので、汗が残ります。足袋型なら親指が分かれ、五本指なら5本すべてが分かれて、それぞれの間に生地が入る。汗が生地に移るぶんだけ、皮膚に残る汗が減ります。
ニオイが気になる人は、消臭加工の有無を比べる前に、五本指か足袋型に替えてみてください。
04.見えない1枚に1,000円を出す意味
3足1,000円の靴下と、1足1,000円の靴下があります。値段だけ見れば3倍です。
ただ、前者は脱げてかかとに丸まり、汗を吸わず、数回洗うとゴムが緩みます。1足あたりの値段ではなく「気持ちよく履けた日数」で割ると、順番が入れ替わることは珍しくありません。
35年で市場の9割が輸入に置き換わった中で、奈良の旧式の編み機を回転数を落として回し、10人以上の手を通してつくり続けている。その1足を試してみる価値は、たぶんあります。
まずはタビオのメンズ一覧から、いつも履いている靴に合う丈のものを1足選んでみてください。
丈のある定番ソックスが10型加わりました
これまでTabio MENはカバーソックスだけでしたが、2026年10月に丈のある定番ソックスが10型加わりました。スニーカー丈・ショート丈・レギュラー丈の3つの丈に、綿とウールの素材違いがあります。
丈は、履く靴で決めるのがいちばん簡単です。スニーカーならスニーカー丈かショート丈、革靴ならレギュラー丈。迷ったら、いま持っている靴下のうち出番が多いものと同じ丈から試してください。
丈と、合わせやすい靴| 丈 | 見え方 | 合わせやすい靴 |
|---|
| スニーカー丈 | くるぶしが少し見える | ローカットのスニーカー |
| ショート丈 | くるぶしが隠れる | ハイカットのスニーカー、ブーツ |
| レギュラー丈 | 座ると裾から見える | 革靴、ビジネスシューズ |
01.スニーカー丈|素足っぽさを残したい日に
くるぶしが少し見える丈です。カバーソックスほど隠れませんが、足首まわりに生地がないぶん涼しく、脱げる心配もありません。
タビオ ベーシック 軽い・涼しい・吸水・速乾 足裏までメッシュ スニーカー丈 ソックス TabioMEN(¥990):足裏まで全面がメッシュのスニーカー丈。汗をかく季節にスニーカーを履く日のための1足です。靴の中の湿気がこもりにくく、3足そろえて回しても負担になりにくい価格です。
タビオ ベーシック 無地 アンクルスニーカー丈 ソックス TabioMEN(¥990):くるぶしが隠れるくらいの無地のスニーカー丈。スニーカーから少しだけのぞく丈なので、靴下を見せたくはないけれど素足っぽくもしたくない、という日に収まります。
タビオ ベーシック ダブルガード スニーカー丈 ソックス TabioMEN(¥1,100):かかととつま先を二重にしたスニーカー丈。靴下がいつも同じ場所から薄くなる方は、この補強のあるものに替えると履ける期間が延びます。
02.ショート丈|靴の履き口が当たる方へ
くるぶしが隠れる丈です。靴の履き口が足首に当たって痛い方は、この丈にすると生地が間に入るので当たらなくなります。
タビオ ベーシック 軽い 涼しい 吸水 速乾 足裏までメッシュ ショート丈 ソックス TabioMEN(¥1,100):足裏がメッシュのショート丈。くるぶしの上まであるので、ローカットの革靴やブーツで足首が当たる方でも、靴ずれを避けながら蒸れを逃がせます。
タビオ ベーシック 太リブ ショート丈 ソックス TabioMEN(¥1,100):太いリブ編みのショート丈。畝がはっきりしているので、くるぶし丈でも足元が貧相に見えません。パンツの裾から少し見える前提で選ぶ1足です。
タビオ WOOL 太リブ ショート丈ソックス TabioMEN(¥1,650):ウールの太リブ、ショート丈。ウールは汗を吸っても冷たくなりにくい繊維です。秋冬に足先が冷える方は、丈を変えるより先に素材を変えたほうが効きます。
03.レギュラー丈|革靴とスーツの日に
ふくらはぎの下まである、いちばん一般的な丈です。座ったときにパンツの裾から見えるので、ここだけは見られている前提で選びます。
タビオ メンズ ベーシック 綿混2×2リブ レギュラー丈 ソックス TabioMEN(¥1,210):綿混の2×2リブ、レギュラー丈。スーツでもデニムでも合う、いちばん出番の多い形です。迷ったらここから足して、履き心地を確かめるのがおすすめです。
タビオ ベーシック 太リブ レギュラー丈 ソックス TabioMEN(¥1,210):太リブのレギュラー丈。座ったときに裾から見える部分に畝が出るので、同じ無地でものっぺり見えません。
タビオ 365日履ける 綿ウール 無地 レギュラー丈 リブソックス TabioMEN(¥1,760):綿とウールを混ぜた無地のレギュラー丈。ウール100%ほど厚くならないので、革靴にも入ります。1年を通して同じものを履きたい方に向きます。
タビオ WOOL 太リブ レギュラー丈 ソックス TabioMEN(¥1,870):ウールの太リブ、レギュラー丈。今回加わった中ではいちばん厚みがあります。冬に屋外で過ごす時間が長い日や、床が冷える家で過ごす日に効きます。
なお、ウールのものは洗濯機で洗えますが、乾燥機にかけると縮みます。洗濯ネットに入れて洗い、形を整えて陰干ししてください。カバーソックスと同じで、同じものを数足そろえて回すほうが、結果として長く履けます。